ゴトビキ岩の神倉神社


和歌山県新宮市にある神倉神社には、天ノ磐盾(あまのいわたて)という大きな岩があります。その昔、この地方には南の海を渡ってやって来た海に関わる人々の間で、神として敬われていた「ゴトビキ岩」がありました。ゴトビキ岩は神倉山(かんのくらやま)にある巨石で、「ゴトビキ」とは熊野地方の方言でヒキガエルのことです。
西暦128年、神倉神社の元になる建物がつくられました。この際「ゴトビキ岩」を御神体としました。
日本書紀や古事記によると、初代天皇である神武天皇が東征(東国を征服する途中)の途中で登ったのが天磐盾でした。このゴトビキ岩こそが神武天皇が登った「天磐盾」です。
神武が遠征先の熊野に着いたとき、熊の毒気に触れて気を失ってしまった所を救ったのが、神倉神社の祭神である高倉下命(たかくらじのみこと)と伝えられています。天照大神の子孫である高倉下命は神武天皇に剣を捧げて、これを手にした神武天皇は天照大神の遣わした八咫烏(やたがらす)に道案内をしてもらいました。そしてついにこの地方を制圧できたのでした。
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