アイヌの蜂起で滅びた城~小林氏の志苔館〜


かつて蝦夷地といわれた北海道。函館市の津軽海峡をのぞむ台地に、志苔(しのり)館はその跡をとどめています。
ここは道南十二館のひとつです。道南十二館とは、渡島半島に点在する領主の館の総称で、志苔館はそれらの一番東に位置しています。
室町時代には道南地方に十二の和人(=本土の人たち)の館があったといいます。志苔館もその一つで、小林氏が上野国(今の群馬県)からこの地に移ってきたそうです。史書には室町時代に付近でアイヌの蜂起があり、翌年に志苔館が攻め落とされたとあります。
その後、小林氏は再び館に住んでいましたが、約50年後にまたもアイヌが蜂起し、志苔館は陥落、当時の館のあるじであった小林良定は討ち死にしてしまいました。
良定の子・良治は何とか落ち延び、松前の武将の元に身を寄せ、やがてそこで家臣となりました。
志苔館は廃館となったまま今に至り、北の地で起きた戦いの歴史を無言で伝えています。
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